2013年6月8日土曜日

くげぬま南瓜(ニホンカボチャ)


6月7日

我が地元の藤沢市鵠沼特産の作物として「くげぬま南瓜」がある。(鵠沼カボチャなどとも書くようだ)

毎年5月末から7月ごろにかけて、鵠沼海岸商店街などの八百屋の店頭に並ぶ。一般的なカボチャと比べると少々時期が早く、また売られる期間が短い。
現在では数軒の農家でしか栽培されてないそうだ。



小田急線沿いの畑で栽培される「くげぬま南瓜」 。

購入したもの。
重さは500g強とカボチャにしては小ぶり。この時期のものは元成り(一番成り)と呼ばれるシーズン最初に収穫されたものである。
八百屋「八百力」さんでいただいた説明の紙によれば、収穫時期により次のように分けているそうだ。
・5月20日~6月5日頃・・・一番成り(元成り)
・6月6日~15日頃・・・二番成り
・6月16日~25日頃・・・三番成り
・7月上旬以降・・・末成り(うらなり)

肝心の食味であるが、一番成りがねっとりとした食感で最もよいそうだ。以前、末成りの頃に購入したものはもっと大きかったが、若干ザクザクして今回の一番成りの食感とは少々異なるものだった。八百力さんの説明を参考にすれば、くげぬま南瓜の本当の美味しさを味わえるのは一番成り~二番成りが収穫される1カ月くらいしかないということだ。一般的なカボチャはスーパーで年中見ることができるが、それに対してくげぬま南瓜は非常に季節性の強い作物であると言える。


断面。一般的なカボチャに比べて淡い黄色である。

ところで、普段見かける一般的なカボチャは「クリカボチャ」とか「セイヨウカボチャ」などと呼ばれるもので、Cucurbita maximaという種である。
一方、くげぬま南瓜は「ニホンカボチャ」と呼ばれ、Cucurbita moschataという別の種である。(ニホンカボチャの中でもいくつかの品種群に分けられており、くげぬま南瓜はそのうちキクザ群(菊座)に相当すると思われる)


クリカボチャ、ニホンカボチャ共に品種によって食味に違いはあると思うが、普段食べているクリカボチャとくげぬま南瓜を比較してみると、同じ煮物にした時にクリカボチャは粉質でホクホクした食感、また甘みが強い。一方くげぬま南瓜は先に書いたようにねっとりとした食感で味はあっさりしている。例えると、クリカボチャと冬瓜を足して二で割った感じだろうか。
どちらのカボチャが美味しいかは優劣付けがたいが、恐らく単純に味の面で比較すると多くの人は甘みの強いクリカボチャに軍配を上げると思う。しかし、くげぬま南瓜の優しい味も捨てがたい。食感は全く異なるから好みが分かれるだろう。僕はどちらも好きだが、クリカボチャはいくつも食べていると口の中がパサパサになるから、ねっとりとしたくげぬま南瓜の方が食べやすいなと思う。より和風の食材といえるかもしれない。

鵠沼は江ノ島や湘南海岸に近く、また新しいレストランなどができて観光客が増加している。しかし、この特産のくげぬま南瓜はあまり知られていないのではないかと思う。
本格的な夏を迎える前の一時期だけしか見ることのできない、ちょっと変わったこのカボチャを一度味わってみてはどうだろうか。

参考 ・原色日本野菜図鑑 昭和47年8月1日 五刷発行 著者 高嶋四郎・二井内清之・渡辺斉 発行 保育社

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